若者の「交際離れ」が示す新しい価値観
国立社会保障・人口問題研究所が発表した「第16回出生動向基本調査」のデータを見ると、18~34歳の未婚者で異性と交際している割合は、男性が21.1%、女性が27.8%にとどまっています。さらに驚くべきは、未婚者の約3人に1人が「交際相手を欲しいと思わない」と回答している点です。
この数字を見ると、単純な「恋愛離れ」というよりも、もしかしたら『交際そのものへの価値観が変化しているのかもしれない』と感じますね。出会いの機会が少ないというだけでなく、積極的に交際を選ばない人が増えているというのは、社会全体の大きな変化と言えるでしょう。

バーチャルな存在への感情消費市場が急成長
恋愛や交際から距離を置く若者が増える一方で、バーチャルな存在への感情消費市場は目覚ましい成長を遂げています。矢野経済研究所の調査では、VTuber市場が2024年度に1,050億円規模に達し、2025年度には1,260億円に拡大すると予測されています。
VTuberや二次元キャラクター、AIチャットボットといった「実在しない存在」に感情を寄せる人が増えているのは、今の時代の特徴かもしれません。推し活や投げ銭、バーチャル恋愛アプリといった形で、スクリーンの中の存在が、心の拠り所になっているケースも少なくないようです。彼らが提供する「精神的な支え」は、現実の関係性とは異なる安心感や満足感を与えているのかもしれませんね。

AIキャラクターとの「関係性」が社会的な議論に
バーチャルな存在への感情が深まるにつれて、その関係性のあり方も多様化しています。2025年11月には、東京都在住の32歳女性がAIキャラクターと「結婚式」を挙げた事例が報じられ、AIとの関係性や親密さについて、広く社会的な議論を呼びました。
少し前なら驚かれたかもしれませんが、今やバーチャルな存在が「精神的な支え」として機能し始めている、という認識が社会にも広がりつつあります。これは、私たちが考える「親密さ」や「パートナーシップ」の定義が、時代とともに変わりつつある証拠ではないでしょうか。
バーチャル体験の課題と「触覚同期技術」の可能性
バーチャルな存在は、確かに精神的な親密さを深く提供してくれます。しかし、物理的な接触がないという根本的な制約は、やはり寂しさを感じる部分もあるでしょう。Lovenseのヒアリング調査でも、「精神的には近いが、物理的には隔てられている」状態に対する不満や物足りなさを感じているユーザーの声が多く見られたそうです。
この「精神的には近いのに、物理的には隔てられている」というもどかしさ、想像すると、なんだか切ない気持ちになりますね。この課題を解決するために、近年注目されているのが「ハプティックシンク(触覚同期)技術」です。これは、コンテンツの動きや感情変化に合わせて物理的なフィードバックを返す技術で、インタラクティブエンターテインメント領域での応用が進んでいます。
Lovenseは、この身体感覚の欠落という課題に対し、バーチャル体験と身体感覚をつなぐインタラクティブエコシステムの構築に取り組んでいます。例えば、約50本の対応ゲームコンテンツと連動して、ゲーム内のイベントやキャラクターの動きとリアルタイムで同期するインタラクション体験を提供したり、映像・VRコンテンツ連動で、視聴者が能動的に参加できる環境を実現しています。また、ライブ配信者と視聴者の双方向コミュニケーションを促進するツールも提供しているとのことです。
Lovenseの取り組みについて、さらに詳しく知りたい方は、ぜひ公式サイトをご覧ください。
バーチャルな繋がりがもたらす心の豊かさ
実際に、バーチャルな存在が心の支えになっている人も少なくありません。ある25歳の男性は、毎日推しのVTuberの配信を視聴し、これまでに30万円以上を投げ銭しているそうです。「画面の向こうから『おかえり』と言ってくれるだけで、その日の疲れが少し軽くなるんです。精神的な支えになっています」と語っています。
「おかえり」の一言で疲れが軽くなる、というのは、本当に心が温まる話です。現実の人間関係とは異なる形で、心の安らぎや喜びを見出している人がたくさんいることを実感させられます。
私たちは、感情がバーチャルな世界へ向かうという社会の変化を、決して否定的に捉える必要はないのかもしれません。メタバースや全身型触覚スーツの普及を待たずとも、すでに存在するゲーム、映像、VR、ライブ配信といったコンテンツ環境の中で、バーチャル体験に身体感覚を参加させることは、技術的に可能な段階に来ています。
新しいテクノロジーが、私たち一人ひとりの心の豊かさや、人との繋がり方に、新たな選択肢を与えてくれる。そんな可能性を、ぜひ皆さんも感じてみてはいかがでしょうか。
それでは、また次回。賢作でした。


