「好き」が言えないのは、私たちだけじゃない
小林早代子さんは、2015年に「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞しデビュー。『アイドルだった君へ』『たぶん私たち一生最強』といった作品で「めちゃくちゃ刺さる!」と話題の作家です。今回の最新刊『みんな、好きが下手』では、「彼女に『好き』と言うことは、『いいね!』を1000回もらうより難しい」という、まさに現代の恋愛観を象徴するような言葉が紹介されています。
この言葉を聞いて、ハッとされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。SNSが日常に溶け込んでいる今、私たちは「いいね!」や「共感」を簡単に得られる一方で、リアルな感情、特に「好き」という直接的な気持ちを伝えることに、より一層の難しさを感じているのかもしれません。
マルチタレントの佐伯ポインティさんも、この作品に「イタくなれ、欲しがれ、ちゃんと疲れろ!と激励してくれる─SNS時代の青春小説がここにある!」と推薦コメントを寄せています。

賢作が考える、大人が「好き」が下手になる4つの理由
なぜ私たちは「好き」を伝えるのが下手になってしまうのでしょう。私の視点から、いくつか理由を挙げてみますね。
1. 「いいね!」に慣れて、本音の「好き」が言えない葛藤
SNSで手軽に承認欲求を満たせる現代では、リアルな場で「好き」と伝えることのハードルが高くなっている気がします。失敗した時のリスクを考えると、つい臆病になってしまうのかもしれません。若い世代だけでなく、私たちも無意識のうちにこの「いいね!」文化の影響を受けているのではないでしょうか。
2. 傷つくことへの恐れと、臆病になる心
大人になると、たくさんの経験をします。その中には、恋愛で傷ついた経験もあるかもしれません。だからこそ、「もう同じ思いはしたくない」という気持ちが強くなり、一歩踏み出すことに躊躇してしまいます。守りに入ってしまうのは、当然の心理かもしれませんね。
3. 相手の気持ちを深読みしすぎ、一歩踏み出せない慎重さ
若い頃のような勢いがなくなり、私たちは相手の言葉や行動の裏にある真意を深く考えがちです。「もしかしたら迷惑かな」「タイミングが悪いかな」など、考えすぎてしまい、結局何も行動できないまま時間が過ぎてしまう、なんてこともありますよね。
4. 完璧な関係を求めすぎてしまう理想の高さ
経験を重ねることで、私たちは理想の恋愛像やパートナー像を明確に持つようになります。しかし、その理想が高すぎると、現実の相手とのギャップに悩んでしまい、なかなか関係を進展させられないことがあります。完璧を求めすぎず、不完全さを受け入れることも大切だと感じています。
著者からのメッセージと書籍の魅力
著者である小林早代子さんは、「青春とインターネット」をテーマに小説を書きたいと以前から思っていたそうです。彼女自身も中学生の頃から日常をネットにポストし、リアルとネットの顔をひっくるめて交友関係を築いてきた経験があるとのこと。だからこそ、インターネットと共に生きる現代の大学生の、普通でありながらも切実な青春を描き出せるのでしょう。

この小説は、「読んだら絶対に語りたくなる」「ファミレスで友達の恋愛話を聞いているみたいな等身大の共感だらけ」「恋愛リアリティーショーを見ているみたい」といったアツい感想が既に届いているそうです。読者も巻き込むその共感性の高さは、私たち大人が読んでもきっと、自分の恋愛を振り返るきっかけになるはずです。
さらに、5名のアラサー社員有志による座談会も開催され、大盛り上がりだったとのこと。ぜひ、座談会の様子もご覧になってみてくださいね。
座談会はこちら!: https://www.shinchosha.co.jp/images_v2/free_details/book/351763/discussion.pdf
書籍データ
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タイトル:みんな、好きが下手
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著者名:小林早代子
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発売日:2026年5月20日
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造本:四六判ソフトカバー
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定価:1,760円(税込)
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ISBN:978-4-10-351763-4
まとめ
『みんな、好きが下手』は、一見すると若い世代の物語に見えますが、その根底にある「好き」という感情の複雑さや、それを表現することの難しさは、年齢を重ねた私たちにも深く共鳴する部分があると思います。この小説を読むことで、自分の恋愛を客観的に見つめ直したり、共感を通じて心が軽くなったりするかもしれません。そして、もしかしたら、もう一度「好き」という気持ちに素直に向き合ってみよう、と前向きな気持ちになれるきっかけになるのではないでしょうか。
さて、今回のコラムはいかがでしたでしょうか。賢作でした。

