1. 「結婚詐欺罪」って、実は存在しないんです
「結婚詐欺」という言葉は、日常的によく耳にしますよね。だから、「結婚詐欺罪」という明確な犯罪があるように思われがちですが、実は刑法にはその条文がないんです。これ、意外に感じる方も多いのではないでしょうか。僕も最初聞いたときは、「え、そうなの?」と驚きました。
では、相手が「結婚詐欺だ」と言ってきたとき、具体的に何を求めているのでしょうか?大きく分けると、次の3つのケースが考えられます。
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刑事責任(処罰):詐欺罪(刑法246条1項)を問いたい
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渡した金銭の返還:貸金返還請求(民法587条)や不当利得(同703条・704条)
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慰謝料:不法行為(民法709条・710条)=貞操権侵害、婚約破棄
これらの要件はそれぞれ異なり、一概に「詐欺かどうか」だけで判断することはできません。この事実を知るだけでも、少しは冷静になれるヒントになるかもしれませんね。
2. なぜマッチングアプリだと「結婚詐欺」と言われやすいのか
マッチングアプリって、気軽に素敵な出会いを見つけられる反面、人間関係のトラブルにつながりやすい側面も持っているように感じます。特に「結婚詐欺」という言葉が出やすいのは、アプリならではの特徴があるからかもしれません。
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プロフィールを自分で記載する:年齢や職業、収入、婚姻歴など、自己申告が多いので、後から食い違いが判明すると「最初から嘘をついていた」と受け取られやすいんです。
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対面前から距離が縮まりやすい:メッセージのやり取りが密になり、短期間で結婚の話題が出ることも。期待が大きくなる分、裏切られたと感じたときのショックも大きいでしょう。
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交際初期に金銭が動きやすい:デート費用やプレゼント、旅行代など、早い段階でお金が関わることがあります。
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終わり方がブロックや退会になりやすい:連絡が途絶えた形になると、「お金だけ受け取って逃げた」と誤解されかねません。
これら自体は決して悪いことではありませんが、相手が不信感を抱いたときに「詐欺だったのではないか」という感情につながりやすい構造がある、ということを頭に入れておくと良いでしょう。

3. 刑事の「詐欺罪」が成立するハードル、結構高いんですよ
実際に刑事事件としての「詐欺罪」が成立するには、いくつかの厳しい条件があります。まず、最も重要なのは「お金を受け取った時点で、だまし取る意思があったかどうか」という点です。
例えば、「結婚するつもりだったけれど、途中で気持ちが変わってしまった」「返すつもりでお金を借りたけれど、返せなくなってしまった」というような場合、詐欺罪の故意(だます意思)を欠くと判断される余地があります。もちろん、「だますつもりはなかった」と口で言うだけでは足りませんが、同時期に複数の相手と金銭のやり取りをしていたか、お金を受け取ってすぐに連絡を絶ったか、返済のあてがあったかなど、客観的な状況から慎重に判断されます。
つまり、単に「気持ちを裏切られた」とか「結婚すると思っていたのに」というだけでは、刑事事件としての詐欺には当たらないのが原則です。この点は、ぜひ覚えておいてほしいポイントです。
4. 詐欺じゃなくても、責任が残るケースってあるんです
「詐欺罪には当たらない」と分かったとしても、それで全てが終わりというわけではありません。例えば、相手から借りたお金があれば、その返済義務は当然残ります。これは、詐欺かどうかとは別の問題ですね。
また、プロフィールの嘘が、慰謝料の問題につながることもあります。実際に、既婚であることを隠してマッチングアプリで知り合った相手と交際し、貞操権(性的自己決定権)を侵害したとして、男性に約150万円の支払いが命じられた裁判例も報じられています。独身だと偽っていた点が、金銭の交付とは関係なく責任につながり得ることを示しています。
一方で、結婚を前提とするアプリではなかったり、メッセージのやり取りに結婚や将来に関する内容が見当たらなかったりする場合には、「結婚を前提とした交際」とは認められず、女性側の請求がすべて棄却された裁判例もあります。つまり、嘘の有無だけでなく、二人のやり取りの中身や、出会いの場の性質によって、結論は大きく変わってくるということですね。嘘はバレるもの、そして誠実さが何よりも大切だと、僕も改めて感じます。

5. 自分を守るために、アプリのやり取りは「証拠」として残しておきましょう
万が一トラブルになってしまったとき、自分を守る強力な材料になるのが、アプリ上でのやり取りの記録です。前述の裁判例でも、メッセージのやり取りが判断の決め手になったとされています。
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メッセージ履歴、プロフィール画面、送金・振込の記録など、日付が分かるものをまとめて保存しておく。
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アプリによっては、退会やアカウント削除で履歴が確認できなくなることがあります。ブロックされた場合も含め、自分の端末で確認できる範囲は早めにスクリーンショットなどで保存しておくと安心です。
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「見たくないから」と、自分に不利に見えるやり取りまで消してしまわないこと。都合の悪い部分だけが欠けていると、説明全体の信用性が下がってしまう可能性があります。
デジタルなやり取りだからこそ、記録はしっかり残しておく。これは、これからの時代を生きる僕らにとって、とても大切な自己防衛術だと思います。
6. 請求の「形」を見極めて、適切な対応を
相手からの請求は、色々な形で届くことがあります。その「形」によって、対応の緊急度や適切さが変わってくるので、冷静に見極めることが大切です。
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LINE・電話・メール、相手の代理人からの通知:これら自体に法的な強制力はありません。しかし、放置していると、次の段階に進む可能性があるので、内容を把握し、必要であれば専門家に相談しましょう。
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内容証明郵便:郵便局が差し出した事実と文面を証明するもので、書かれている内容が正しいと証明するものではありません。ただ、時効の完成猶予という法的な意味を持つ場合があります。
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支払督促:裁判所から届く書類です。受け取ってから2週間以内に異議を申し立てないと、相手の言い分が認められ、財産を差し押さえられる危険があります。これは放置厳禁です。
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訴状:これも裁判所からの重要な書類です。答弁書を出さず、期日にも出席しないと、相手の主張を認めたものと扱われてしまい、争えば認められなかったはずの請求が通ってしまう可能性があります。
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警察からの連絡:多くは任意の呼び出しです。無視は避けるべきですが、話す前に必ず弁護士に相談してください。一度署名した供述調書の内容を後から覆すのは、非常に難しいです。
裁判所や警察から届いた書類は、内容に納得できなくても、決して放置しないことが肝心です。焦らず、まずは専門家に相談する。これが、事態を悪化させないための第一歩ですよ。

7. 「これだけは避けたい」5つのNG対応
不安な状況だと、つい焦って間違った対応をしてしまいがちです。でも、これからお話しする5つの対応は、事態をさらに悪化させてしまう可能性があるので、どうか避けてくださいね。
- ブロック・アカウント削除・履歴の削除:逃げた、隠蔽したと評価されやすいうえ、自分を守る証拠まで失ってしまいます。
- その場で「返します」と言う、一部だけ支払う:これは「債務の承認」と見なされ、後から「返す義務はない」と主張することが難しくなる可能性があります。
- 感情的な直接交渉:売り言葉に買い言葉で、さらに感情的なやり取りが証拠として残ってしまいます。冷静な話し合いは難しいでしょう。
- 裁判所からの書類の放置:前述の通り、争う機会そのものを失い、相手の主張がそのまま認められてしまう危険があります。
- SNSでの反論や、相手を特定できる形での投稿:名誉毀損などの責任を問われかねません。感情的になってSNSに書き込むのは、絶対に避けましょう。
焦りは禁物です。冷静に、一歩一歩、慎重に対応していくことが、最も大切だと僕は思います。
8. 「一線を越えた請求」は専門家へ
もし相手から「家族や職場に知られたくなければ払え」「警察に行かれたくなければ示談しろ」といった形で金銭を要求されたら、それはもう「恐喝罪」や「脅迫罪」にあたる可能性があります。正当な権利の主張を超えて、害悪を告げて金銭を要求する行為は、法的に問題があるんです。
ただ、何が正当な請求で、何が一線を越えた請求なのか、その線引きは非常に微妙です。自己判断で「これは恐喝だ」と決めつけて強く対応するのは危険なので、もしこのような状況に直面したら、やり取りを保存した上で、すぐに弁護士などの専門家に相談してください。一人で抱え込まず、プロの力を借りる勇気が、あなたを守る第一歩になります。
弁護士法人若井綜合法律事務所では、マッチングアプリをきっかけとした男女トラブル、金銭請求、脅迫・恐喝を伴うケースなど、幅広い相談を受け付けています。全国どこからでも、メール・電話・LINEで24時間無料相談ができるとのことなので、まずは一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。
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問い合わせ先:弁護士法人若井綜合法律事務所
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LINE:@wakailaw
まとめ
マッチングアプリでの出会いは、現代において非常に身近なものになりましたが、それに伴うトラブルも残念ながら増えています。「結婚詐欺だ」と言われたときに確認すべきポイントを、もう一度整理しておきましょう。
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相手が求めているのは、処罰なのか、金銭の返還なのか、それとも慰謝料なのか。
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金銭の交付がなければ詐欺罪の問題にはならず、心変わりや返済不能だけでは犯罪にあたらない。
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一方で、借りたお金の返済義務や、嘘をついたことについての慰謝料の問題は、別に残り得る。
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判断の決め手は、二人のやり取りの中身。記録は自分を守る大切な材料になる。
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裁判所からの書類だけは、内容に納得できなくても絶対に放置しないこと。
不安な状況で一人で抱え込み、焦って対応してしまうと、後から取り返しのつかない事態になってしまうこともあります。請求の内容や届いた形式を落ち着いて整理し、早い段階で弁護士に相談されることを、心からおすすめします。
僕自身も、もし同じような状況になったら、きっと一人で悩んでしまうと思います。でも、そんな時こそ、信頼できる専門家を頼ることの大切さを、今回のテーマを通して改めて感じました。皆さんの不安が少しでも解消され、前向きな一歩を踏み出すきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。
それでは、また次の記事でお会いしましょう。賢作でした。


